今川義元が一回でどのくらいの重量や大きさの物を取り寄せる事が出来るかわからない。もしタイムマシンが大き過ぎて失敗なんてしたら元も子もないのだ。
しかし流石ノーベル賞受賞者。先の先を読んでくれる。改めて自分の父親が凄い人物だと思い知った蝶子だった。
「そうとわかれば早速!……あ、でも市さんを一人に出来ないか。どうしよう?」
「大丈夫です。今日は夕刻までねねさんと一緒にお話をすると約束しています。早くお部屋に帰ってそのモニターとやらを見つけて下さい。」
「じゃあ夕方になったら戻ってくるから。」
「はい。」
「私には難しくてさっぱりわからないですけど、何かたくさんの人のお話が聞けて楽しかったです。またお話したいです!」
ねねが無邪気に言うとその場が和んだ。
「そういう事で引き続き頼みます。」
『はいはい。まったく、人使いが荒いのぅ……』
『蘭さま、お嬢様をよろしくお願いしますよ。旦那様に似て無理をしがちですから。』
「わかってるよ。イチも頑張ってな。」
『はい。それでは切りますね。』
『ちょっ!ちょっと待ってくれ!蘭っ……ブチッ……』
「…………」
「……………今のって……」
イチが通信を切ろうとした瞬間聞こえてきた三人目の声。あの声は間違えようもなく……
「ポンコツ親父……」
近くにいて大人しく話を聞いていたが黙っていられなくて出てきたのだろう。半年以上も離れていたのだ。我が息子の事がやはり心配の様である。
しかし当の息子は……
「マジで親父がタイムマシン作りに関わってないか心配だ……」
「蘭……」
ため息混じりに言い放った蘭を、何とも言えない表情で見つめる蝶子だった……
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