「……いってぇ~……」
蘭は腰を擦りながら、壊れてバラバラになったタイムマシンの残骸の中から這い出した。
「あーあ……派手にやっちまったな。っていうか、こうしてよく見てみたらただの鉄屑じゃねぇかよ!」
何処にも行き場のない怒りを足元に落ちていた鉄板にぶつける。勢い良く蹴ったら『コンッ!』という何とも間抜けな音を立てて残骸の中に姿を消した。
「あの親父……今度会ったら絞め上げてやる!」
無断で忍び込んで勝手に乗ったのは自分達である事を棚に上げて文句を言う。そして改めて周りを見回した。
「何もない……」
そう、そこは正に何もない所だった。蘭達のいる世界には普通にあった物がここにはない。家もビルもそこら辺にうじゃうじゃいたロボットも。
その上空気が悪いのか埃っぽいし、何かが燃えたような臭いがした。
あるのは荒れ果てた大地にポツポツと痩せ細った木が立っているだけ。少し小高くなっているのか、遠くに見える景色は目線より下にあるようだった。というのも靄がかかっていて視界が悪くて、あまり遠くまで見渡せないのだ。上を見上げても空など見えない。雨は降っていない事だけは確かだった。
「う~……ん……」
と、そこまで状況を把握したところで背後から呻き声が聞こえた。蘭はハッとしてさっき自分が出てきた場所へと走って行った。
「蝶子!大丈夫か?蝶子!」
「ん~…いたた……蘭?」
「良かった!無事で。」
「ここ……どこ?」
「それがわかんねぇんだよ。俺達がいた所じゃない事だけは確かなんだけど……」
蘭が頭をかきながらそう言うと、蝶子はよろけながら立ち上がった。そして顎に手を当てる。
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