時は22世紀初頭。場所は藤森研究所。
「こら—―!蘭!またわしの新作いじくり回して!壊れたじゃないか、どうしてくれるんだ!」
「いじったんじゃねぇよ。ただ色々触ったら機械が勝手に……」
「それをいじったって言うんじゃ……はぁ…はぁ……まったくあのバカ息子が。逃げ足だけは早いんだが……」
ここの研究所の所長、藤森吉光はため息混じりにそう言った。久しぶりに全力で走ったからか息が切れて立っているのもやっとの事。息子に悪態をつきながら側にあった椅子(みたいな物)に腰かけた。
バキッ
「……ん?」
乾いた音が微かに聞こえる。何だか嫌な予感がして吉光は顔を下に向けた。
「ぎっ……」
椅子だと思った物はこの研究所で一番大事な実験道具の一部だった。ちょうど椅子のようになっていて勘違いをして座ってしまったのだ。自分の重みでひびがくっきり入っていた。
「ぎゃあぁぁぁぁ~~!!」
吉光の叫びが所内を谺した……
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