「ようこそ はじまりのむら リンクスへ! みてみて このおはな キレイでしょう」
振り返ったその子は笑顔でそう答えると、また花壇の方に向き直った。
──なんだ、NPCか。
オレは心の中で独りごちた。
……
この世界には二種類の存在がいる。
オレらのような冒険者、盗賊、果ては北の魔王まで。
みな意思を持って自由に生き、どこへでも行ける生きているモンだ。
対して、宿屋の主人とか武器屋の主人──そしてこの子のような、同じことしか言わねえし、ひとつの事しかできねえやつらがいる。
オレらはそいつらをNPCって呼んでる。
なんのために、誰が創ったのか、それはわからない。
でも、気の遠くなるくらい昔からモブ達は居たし、もう居るのが当たり前過ぎてだれも何も感じない。
宿屋や武器屋の主は、まだいい。
役割があり、その使命を全うしているから。
でも、この子は──
たぶん、この村ができた時からここに居て、そして村が終わってもいるのだろう。
ようこそ。
みてみて。
そんなことを言いながら。
なぜかその事に思いを馳せると。
なぜか。
胸に穴が空いているかのような感覚に襲われるのだった。
……
で、目の前にいるこの子。
いつまでここに、この花壇に立っているのだろう。
「おい」
「ようこそ はじまりのむら リンクスへ! みてみて このおはな キレイでしょう」
「そろそろ暗くなるぞ」
「ようこそ はじまりのむら リンクスへ! みてみて このおはな キレイでしょう」
「……はあ、だめか」
モブに話しかけるヤツなんて、この世界に越してきたばかりのヤツか、頭が沸いちゃってるヤツだけだ。
「じゃあな、風邪ひくなよ」
「ようこそ はじまりの……」
律儀なヤツめ。
クラウスのヤツにも見習わせてやりてえぜ。
……
「ちょっと、そこのお兄さん」
「うわあ!」
びっくりした!
あの子が話しかけてきたと思った。
「な、なんだよ?」
「復讐」
「は?」
「復讐、したいでしょ」
あの子かと思ったその子は、にんまりと笑って、そう聞いてきた。
振り返ったその子は笑顔でそう答えると、また花壇の方に向き直った。
──なんだ、NPCか。
オレは心の中で独りごちた。
……
この世界には二種類の存在がいる。
オレらのような冒険者、盗賊、果ては北の魔王まで。
みな意思を持って自由に生き、どこへでも行ける生きているモンだ。
対して、宿屋の主人とか武器屋の主人──そしてこの子のような、同じことしか言わねえし、ひとつの事しかできねえやつらがいる。
オレらはそいつらをNPCって呼んでる。
なんのために、誰が創ったのか、それはわからない。
でも、気の遠くなるくらい昔からモブ達は居たし、もう居るのが当たり前過ぎてだれも何も感じない。
宿屋や武器屋の主は、まだいい。
役割があり、その使命を全うしているから。
でも、この子は──
たぶん、この村ができた時からここに居て、そして村が終わってもいるのだろう。
ようこそ。
みてみて。
そんなことを言いながら。
なぜかその事に思いを馳せると。
なぜか。
胸に穴が空いているかのような感覚に襲われるのだった。
……
で、目の前にいるこの子。
いつまでここに、この花壇に立っているのだろう。
「おい」
「ようこそ はじまりのむら リンクスへ! みてみて このおはな キレイでしょう」
「そろそろ暗くなるぞ」
「ようこそ はじまりのむら リンクスへ! みてみて このおはな キレイでしょう」
「……はあ、だめか」
モブに話しかけるヤツなんて、この世界に越してきたばかりのヤツか、頭が沸いちゃってるヤツだけだ。
「じゃあな、風邪ひくなよ」
「ようこそ はじまりの……」
律儀なヤツめ。
クラウスのヤツにも見習わせてやりてえぜ。
……
「ちょっと、そこのお兄さん」
「うわあ!」
びっくりした!
あの子が話しかけてきたと思った。
「な、なんだよ?」
「復讐」
「は?」
「復讐、したいでしょ」
あの子かと思ったその子は、にんまりと笑って、そう聞いてきた。