結局、アルフレッド王太子の野望を知った国王陛下により、王太子は妻のクラリッサ共々、王家を追われることになりました。
 ああ、可哀想なクラリッサ。
 後に聞いた話だと、お腹の赤ちゃんは産むことが出来なかったそうです。
 愛する旦那様は断頭台に。
 アレンくんは孤児院に。
 肝心のクラリッサは。

 お腹の赤ちゃんを流産した翌日、幽閉されていた塔から身を投げました。

 可哀想ですか?
 わたくしはひどいですか?

 かまいません、別に。

 わたくしは、()()()()()()()()()()()()に、復讐を成したのですから。

 では、ここからはあの日のダイジェストをお見せいたしましょう。

 ……

「はあっ? あ、あんたっ、うちの家がそんな馬鹿げたことしようとしてるとか、ほんきでそ、そう思ってるんじゃないでしょうねっ」
「貴様、我が王家と妻を侮辱するのは、ゆるさないぞ! だれか、だれかこの女をつまみ出せ! ……だれか! なぜ誰も来んのだ!」

「それは兄上。すでに王家には私から話を通してあるからだ」

「アレクシス……な、何を言ってる?」
「そこのリルオード・イングラム公爵令嬢が仰っていることは誠だ。なにせ私が七年かけて内偵させた結果だからだ。……そなたも分かっていて、兄に近づいたのだろう、クラリッサ・ウェントワース」
「あ、アレクシスさま、あ、あたくしがそんな大それたこと出来るはずが……」
「出来るんだよ。君はお父上から全てを教え込まされて、今ここにいる。すでにウェントワース家には憲兵の捜索が入っている。証拠も山のように出たとの通知が来た」
「くっ……弟の癖にっ! 誰がここまで育ててやったと!」
「なんとでもおっしゃい。もはやあなたは王家の者ではない」
「は……?」

「アルフレッド。私がアレクシスから報告を受けた時、お前をどう思ったと思うね?」

「ち、父上! 違います、全てはこの者たちのが謀ったこと! 私は王家のためクラリッサと結婚し……」

「それはお前のため、ではないのかね」

「ち、父上! 父上!」
「捕らえろ」
「父上! アレクシス! 違うんだ、信じてくれ、父上ーっ!」
「あなたー! あなたーっ!」

「ひどい、ひどいわリルオード! あたくしたちの家族を引き裂いて! ひどいわ!」
「あら、クラリッサ。ひどくなんかないわ……だって」

「とっても美味しい前菜(オードブル)だったもの」