きみと出会ったのはある夏のカンカン照りの暑い日
夕立が降る前だった
「あ、ごめんなさい」
「いえ、こちらこそ、すいません」
市内の大きな図書館で夏休み中に読む本を探していた。うろうろと図書館の新着図書コーナーをちらり見ながら僕は、これから貸し出しコーナーに行こうとすると、ある女性にぶつかった。謝ってすぐに歩き出そうとした。
「あ、あの!!」
左肩に触れられ、声をかけられた。
「は、はい」
ピスタチオカラーのパンツに白いフリルのシャツ、鎖骨から見えるポラリスのネックレスが綺麗だった。何事かと振り返ると、彼女の手にはキーホルダーがあった。
「これ、落としましたよ」
ハシビロコウのキーホルダーがついた自宅の鍵だった。僕は急に恥ずかしくなって自分のものだと言おうかどうか迷っていた。
「これ、可愛いですよね。ハシビロコウ。私、好きなんです。どこに売ってるんですか?」
初対面だったが、その話を聞いて恥ずかしさが一気に飛んだ。僕は目をキラキラさせて、流し目のハシビロコウのキーホルダーの売ってる場所を丁寧に教えた。話しかけやすかった。
「ガシャポンです。300円の。えっと、確か、モールの中にあるお店ですね」
「「ガチャガチャの森!」」
初対面で声が揃った。まさか、同時に言うなんて思わなかった。クスッと笑みをこぼした。彼女も口を塞いで笑った。
「私、菅原璃乃です。もし良ければ一緒にそのキーホルダー探し手伝ってもらえますか?」
「え、あ……」
カーゴパンツのポケット付近でゴシゴシと手を拭いて握手をする。あれ、自己紹介する時って何で握手するんだっけと思いながら、空気を読んで挨拶した。
「僕は幸田 熙です。ハシビロコウはまだ直接会えてません」
「そうなの? 奇遇だね。私も好きなのに直接ハシビロコウに会ってないの。仲間がいた」
璃乃は興奮冷めやらぬ思いだ。テンションが上がった。通りかかったエプロンをつけた女性司書が静かにのポーズをとる。
さっきよりも小さな声で会話した。熙もにわかに落ち着かない。咄嗟にスマホをショルダーバッグから取り出して連絡先交換をした。
まさかとんとん拍子に初対面の人と連絡先を交換するとは思わなかった。
窓の外、透き通った青空にはしらす雲が流れていた。その後に夕立が降るなんて思えない天気だった。
夕立が降る前だった
「あ、ごめんなさい」
「いえ、こちらこそ、すいません」
市内の大きな図書館で夏休み中に読む本を探していた。うろうろと図書館の新着図書コーナーをちらり見ながら僕は、これから貸し出しコーナーに行こうとすると、ある女性にぶつかった。謝ってすぐに歩き出そうとした。
「あ、あの!!」
左肩に触れられ、声をかけられた。
「は、はい」
ピスタチオカラーのパンツに白いフリルのシャツ、鎖骨から見えるポラリスのネックレスが綺麗だった。何事かと振り返ると、彼女の手にはキーホルダーがあった。
「これ、落としましたよ」
ハシビロコウのキーホルダーがついた自宅の鍵だった。僕は急に恥ずかしくなって自分のものだと言おうかどうか迷っていた。
「これ、可愛いですよね。ハシビロコウ。私、好きなんです。どこに売ってるんですか?」
初対面だったが、その話を聞いて恥ずかしさが一気に飛んだ。僕は目をキラキラさせて、流し目のハシビロコウのキーホルダーの売ってる場所を丁寧に教えた。話しかけやすかった。
「ガシャポンです。300円の。えっと、確か、モールの中にあるお店ですね」
「「ガチャガチャの森!」」
初対面で声が揃った。まさか、同時に言うなんて思わなかった。クスッと笑みをこぼした。彼女も口を塞いで笑った。
「私、菅原璃乃です。もし良ければ一緒にそのキーホルダー探し手伝ってもらえますか?」
「え、あ……」
カーゴパンツのポケット付近でゴシゴシと手を拭いて握手をする。あれ、自己紹介する時って何で握手するんだっけと思いながら、空気を読んで挨拶した。
「僕は幸田 熙です。ハシビロコウはまだ直接会えてません」
「そうなの? 奇遇だね。私も好きなのに直接ハシビロコウに会ってないの。仲間がいた」
璃乃は興奮冷めやらぬ思いだ。テンションが上がった。通りかかったエプロンをつけた女性司書が静かにのポーズをとる。
さっきよりも小さな声で会話した。熙もにわかに落ち着かない。咄嗟にスマホをショルダーバッグから取り出して連絡先交換をした。
まさかとんとん拍子に初対面の人と連絡先を交換するとは思わなかった。
窓の外、透き通った青空にはしらす雲が流れていた。その後に夕立が降るなんて思えない天気だった。