本音を言えば、ちょっとの時間でも吉川さんと離れるのは不安だった。

 確実にまた会えるという保証はどこにもないから。

 そうかといって吉川さんを拘束(こうそく)することもできない。ならば、彼女を信じるしかないのだ。

「わかった。じゃあ、またあとでね。あ、気をつけて」

 僕がかけた言葉に、くすっと笑った吉川さんは、

「だいじょうぶです。いまのわたし、無敵ですから」

 ちょっと得意そうに、でもはにかんで、わずかにあごをあげてみせた。