そこで、彼からのメッセージは終わっていた。

 最後の手紙は、機械的な文字だった。彼からのメッセージだという絶対的な証拠はどこにも無い。内容も、とても信じられるものではない。それでも、文章の端々に、私を想う彼の愛情が感じられた。それだけで、私は、これが彼からの手紙であると信じられた。

 パソコンからUSBを抜くと、それを、大切なものがしまってある鍵のかかる引き出しへそっと入れた。

 それから、洗面所へ行き、涙で濡れた顔を流水で洗った。顔を濡らすものが、涙なのか、それとも水なのかが分からなくなるほど、顔を濡らしてから、タオルを手にとった。

 彼が特に好んで使っていた彼専用のタオルだ。それを顔に押し当てる。ふわふわとしたタオルは肌触りがとても気持ちいい。タオルからは、彼が好んでいた柔軟剤の柔らかな香りがする。タオルで顔を包んでいるのに、まるで、彼の両手で顔を包まれている様な安心感があった。

 私はタオルの香りを吸えるだけ吸い込むと、しばらく息を止めた。そして、タオルに顔を強く押し当てたまま、一声大きく叫んだ。叫びと共に、体中の悲しい感情を少しでも多く体の外に吐き出したかった。

「わーーーーーーーーーー」

 彼のタオルに全てを吸収してもらうと、タオルから顔を離し、洗面台の鏡に向き直る。そして、彼との約束を実行する。

 ニッと笑った鏡の中の私は、泣き腫らした顔をしていて、とてもブサイクだった。

 それでも、私は、これからもこうやって笑うだろう。

 それが彼との約束なのだから。






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『ラストデータ』、完結しました☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
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さてさて明日からは、『天気オタクと雨宿りカフェ』が連載開始!
ある夏の日の甘々デートの様子を描いた作品です。
明日の15時をお楽しみに♪