ずっと絵本の中のような綺麗な恋の物語に憧れていた…。



「お姉さん、今暇ー?」


「へ…っ」



さっきまでショッピングモールで買い物をして、歩き疲れて駅前の時計台の下で休憩がてら座りながらスマホをいじっていると、急に知らないチャラそうな二人組の男の人に話しかけられた。



「あのさー俺たち今からご飯行くんだけど、一緒にどうー?お姉さんの友達とかも誘ってさー!」


「え、あ、う…」



距離感の近い男の人たちに、引きつった笑顔を返しながら後ずさる。


夜の駅前は危ない人がいたりするから早く帰るんだよ、とお母さんに言われていたことを今になってやっと思い出す。



「ねえ聞いてる?」



男の人は昔から声が大きくて態度もでかくて怖い印象しかなく、苦手である。