真子はしばらくの間涙を流し続けた。私がハンカチを渡すと、涙を拭いた。
鼻水をずずっとすすり、やっと涙が止まったようだった。
「はぁ、落ち着いたよ。ありがとう、結衣」
「ううん、いいよ。それより……そんなに辛かったんだね」
「うん……結婚なんてやっぱりしなきゃ良かったなって。あたしが離婚届を相手に出したときね、彼、涙を流さなかったの。やっぱり彼もあたしを愛してくれていなかったんだなぁって知っちゃったからさ。もう結婚なんてしたくないな」
私は、真子のこと、友達として好きだよ。
好きなんて言葉、私たちには似合わないけど。でも私は高校のときからずっと、親友の真子のことを誇りに思っている。
だけどね。いつも隣にいて、思ってた。いつも明るくて、まるで本当にひまわりのよう。そんな真子のことが――羨ましかった。
真子になりたいって。私は真子のこと、憧れてたんだと思う。
真子は涙を見せたことがなかったから、今すごくびっくりしてるけど。高校のときはもしかしたら、辛い気持ちを我慢していたのかな。
「ねぇ、あたし、どうしたらいいのかなぁ」
「……家族に、本音を伝えよう。自分のパートナーは自分で決めたいって。だって親だよ、分かってくれるよ。真子は言いなりになる必要なんてないんだよ。私も……相談なら、いつでも聞くし」
あぁ……こんなんじゃ、アドバイスになってないよね。
私ってどうして、いい答えを出してあげることができないんだろう。真子も私に相談したこと失敗したなって思わないかな。
だけどその心配とは裏腹に、真子は私に抱きついてきた。
「ありがとう、結衣。あたしやっぱり、結衣が一番だよ。もう彼氏なんていらない。結衣と一緒に生きていきたい」
「うん……ありがとう。私も、真子のことずっと親友だと思ってるよ」
「えへへー、嬉しい。あっ、もちろん、結衣に彼氏がいるなら応援するからね」
「残念ながら、いないんですー。でも彼氏は……今は欲しくないかな。私は、友達とバカやってるほうが好きだって思ったから」
そう言うと、真子はいつものように笑った。優しくて、華やかで、周りもつられてしまうような素敵な笑顔。
そんなこと言っているから、たぶん私は彼氏ができたことないんだろうな、と自分で思う。でも不思議と、恋人が欲しいとは思わない。
「結衣、これからカラオケ行かない?」
「いいけど、真子、歌すっごく音痴じゃなかったっけ?」
「もー、いいでしょ! 結衣に教えてもらうもん! よーし、朝まで歌うぞー!」
真子の隣にいれば、いつだって笑顔になれる。だって、親友って何よりも特別な関係だから。
恋なんてないさ――。
鼻水をずずっとすすり、やっと涙が止まったようだった。
「はぁ、落ち着いたよ。ありがとう、結衣」
「ううん、いいよ。それより……そんなに辛かったんだね」
「うん……結婚なんてやっぱりしなきゃ良かったなって。あたしが離婚届を相手に出したときね、彼、涙を流さなかったの。やっぱり彼もあたしを愛してくれていなかったんだなぁって知っちゃったからさ。もう結婚なんてしたくないな」
私は、真子のこと、友達として好きだよ。
好きなんて言葉、私たちには似合わないけど。でも私は高校のときからずっと、親友の真子のことを誇りに思っている。
だけどね。いつも隣にいて、思ってた。いつも明るくて、まるで本当にひまわりのよう。そんな真子のことが――羨ましかった。
真子になりたいって。私は真子のこと、憧れてたんだと思う。
真子は涙を見せたことがなかったから、今すごくびっくりしてるけど。高校のときはもしかしたら、辛い気持ちを我慢していたのかな。
「ねぇ、あたし、どうしたらいいのかなぁ」
「……家族に、本音を伝えよう。自分のパートナーは自分で決めたいって。だって親だよ、分かってくれるよ。真子は言いなりになる必要なんてないんだよ。私も……相談なら、いつでも聞くし」
あぁ……こんなんじゃ、アドバイスになってないよね。
私ってどうして、いい答えを出してあげることができないんだろう。真子も私に相談したこと失敗したなって思わないかな。
だけどその心配とは裏腹に、真子は私に抱きついてきた。
「ありがとう、結衣。あたしやっぱり、結衣が一番だよ。もう彼氏なんていらない。結衣と一緒に生きていきたい」
「うん……ありがとう。私も、真子のことずっと親友だと思ってるよ」
「えへへー、嬉しい。あっ、もちろん、結衣に彼氏がいるなら応援するからね」
「残念ながら、いないんですー。でも彼氏は……今は欲しくないかな。私は、友達とバカやってるほうが好きだって思ったから」
そう言うと、真子はいつものように笑った。優しくて、華やかで、周りもつられてしまうような素敵な笑顔。
そんなこと言っているから、たぶん私は彼氏ができたことないんだろうな、と自分で思う。でも不思議と、恋人が欲しいとは思わない。
「結衣、これからカラオケ行かない?」
「いいけど、真子、歌すっごく音痴じゃなかったっけ?」
「もー、いいでしょ! 結衣に教えてもらうもん! よーし、朝まで歌うぞー!」
真子の隣にいれば、いつだって笑顔になれる。だって、親友って何よりも特別な関係だから。
恋なんてないさ――。