ーー映画は、余命を宣告されたヒロインが最後の恋をするという話だった。

隣で映画を見ながら涙を流す僕の恋人は、1日で記憶がなくなってしまう。

余命ではないものの、記憶の期限があるという点ではヒロインと共通するものがある。

だから余計に感情移入してしまうのだろう。

映画を見終わると、彼女の心を落ち着かせるのも兼ねてカフェでゆっくりお茶をする。

ハンカチで涙を拭ってあげると、鼻声でありがとうと言って、クシャっと笑う。

僕はその笑顔が大好きで、絶対に守るんだって、何度でも決意し直すんだ。


帰り道の途中、スーパーに寄って夕飯の材料を仕入れる。

マンションに帰ると、二人で洗濯物を畳んだり、掃除機を掛けてから夕飯の準備に取り掛かる。

彼女が得意のオムライスを作ってくれて、とても美味しかった。


僕が食器を洗うからと言って、彼女にお風呂に行っておいでと促す。