「どうしたの?
 碧音(あのん)ちゃん」


 彩暖(あやの)ちゃんは私に引っ張られながら。
 驚いている、少しだけ。
 私の行動に。



「あれ?
 どこ行くの?
 彩暖、楚良(そら)ちゃん」

「大丈夫、気にしないで。
 和輝(ともき)は先に(パンを)買ってて」


 少し驚き気味の新堂くん。

 そんな新堂くんの方を見ながら。
 そう言った、彩暖ちゃん。


「ごめんね、彩暖ちゃん。
 少しだけ」


「大丈夫だよ、
 だから気にしないで」


「ありがとう、
 彩暖ちゃん」


 やっぱり。
 優しい、彩暖ちゃんは。

 そして。
 頼れる、ものすごく。





 同じ学年、彩暖ちゃんとは。

 だけど。
 思えない、そんなふうには。


 それくらい。
 落ち着いて。
 大人びている。



 そういうところ。
 さすがだな。
 彩暖ちゃん。