「あっ、ねぇねぇ、
楚良ちゃん。
話は変わるけど、
このマンガ、
楚良ちゃんが先にどうぞ」
残り一つの大人気マンガ。
譲ってくれている、新堂くんが。
「えっ、いいよ。
新堂くんが先にどうぞ」
重版されて。
売る、また。
そう思う。
だから。
買う、そのマンガを。
それは、そのときで。
「あっ、
じゃあ、こうしよ。
このマンガ、俺が買う。
それで読み終わったら
楚良ちゃんに貸すよ」
貸してくれる、マンガを。
新堂くんが。
それは。
ありがたい、ものすごく。
そう思う。
だけど。
「そんなの悪いよ」
せっかく買うマンガ。
それを。
今日初めて話をする私に貸してくれるなんて。
それは。
申し訳ない、ものすごく。
なってしまう、そういう気持ちに。
「そんなの、
気にしなくていいよ」
話をする、初めて。
新堂くんと。
だから。
わからない、本当の性格は。
だけど。
思う、なんとなく。
新堂くんは。
親切な人。
する、そんな感じが。