「せっかくのチャンスじゃない。
 行きなさいよ、先に」


 ん?

 何を言っているの、松浦さん。


「松浦さんも
 スマホ、手元にないよね」


 松浦さん。
 している、怪我を。


「それなら、
 ここに居ても
 どうにもならない」


 それなのに。
 おいていく、松浦さんのことを。


「松浦さん、
 私の肩に腕を回せる?」


 そんなこと。
 できるわけがない。

 放っておく、松浦さんを。
 そうすることなんて。


「足が痛くて辛いだろうけど、
 少しだけ辛抱して」


 松浦さんとは。
 闘う、正々堂々と。

 たとえ。
 私が不利な状況だとしても。