「環生さん。
編み物がしたいんで、毛糸とかぎ針とか手に入りますか?」
私の髪を梳く、光生さんに指示を出している環生さんに訊いてみる。
彼女はほんの少しだけ上を見上げ、すぐに頷いた。
「じゃあ、色とか素材とか、あとで書いて渡しますので」
また、彼女が頷く。
いつも、そう。
環生さんと光生さんは私の身の回りの世話をしてくれるけれど、彼女たちの声を聞いたことがない。
ううん、彼女たちだけじゃなく、ここにいる、宜生さん以外の人の声。
あ、悲鳴はよく聞くけど。
嫌われているんだろうとは思うし、理由もわかるから気にしないことにしている。
私を肌着姿にして環生さんたちはあたまを下げて出ていった。
それと入れ違いに朔哉が入ってくる。
「今日はどんな服にしようかな」
少し考えて、ぱちんと朔哉が指を鳴らした今日は珍しく矢絣の着物にえんじの袴と、普通といえるスタイルだった。
「たまにはこんなのもいいだろ」
またぱちんと指を鳴らせば、髪も結われる。
最後に空中から取りだしたリボンを、ハーフアップにした髪に結んでくれた。
「可愛いハイカラさんのできあがりー」
足下はもちろんブーツ。
編み物がしたいんで、毛糸とかぎ針とか手に入りますか?」
私の髪を梳く、光生さんに指示を出している環生さんに訊いてみる。
彼女はほんの少しだけ上を見上げ、すぐに頷いた。
「じゃあ、色とか素材とか、あとで書いて渡しますので」
また、彼女が頷く。
いつも、そう。
環生さんと光生さんは私の身の回りの世話をしてくれるけれど、彼女たちの声を聞いたことがない。
ううん、彼女たちだけじゃなく、ここにいる、宜生さん以外の人の声。
あ、悲鳴はよく聞くけど。
嫌われているんだろうとは思うし、理由もわかるから気にしないことにしている。
私を肌着姿にして環生さんたちはあたまを下げて出ていった。
それと入れ違いに朔哉が入ってくる。
「今日はどんな服にしようかな」
少し考えて、ぱちんと朔哉が指を鳴らした今日は珍しく矢絣の着物にえんじの袴と、普通といえるスタイルだった。
「たまにはこんなのもいいだろ」
またぱちんと指を鳴らせば、髪も結われる。
最後に空中から取りだしたリボンを、ハーフアップにした髪に結んでくれた。
「可愛いハイカラさんのできあがりー」
足下はもちろんブーツ。