揚げがふっくらジューシーで、本当に頬が落ちそうなほど美味しいのだ。
さらに毎回、同じものだと飽きそうだけど、中身がいろいろ変えてあったりする。
今日は梅しらすでさっぱりだ。

「たまにはシュークリームとかケーキとか供えてくれないかなー」

それはかなり、無理な相談では?
ああいう要冷蔵日持ちしないものは、お供えには向かないよね。

「……ronronのシュークリームが食べたい」

よっぽど食べたいのか、朔哉は俯いてもそもそと大葉の天ぷらを囓っている。

んー、私が作るとかダメなのかな。
作ったことはないけど、何度か練習すればronronほどは美味しくはないけど、食べられるものは作れるはず。

朔哉の後ろに立つ宜生さんをちらり。
でも私の意図に気づいているのか、黙って首を振られた。

ですよねー。
わかっていたけど。
でもどうにかして、朔哉の願いを聞いてあげられないのかな……。



朔哉の食べたいものを食べさせてあげたい!! と悩むこと早一週間。
宜生さんの目を盗んで台所に忍び込むとかも考えたけど、台所は私の立ち入り禁止区域なんだよねー。