「……遠慮、します」

「そう?
残念ね」

それは心からの言葉らしく、うか様は深いため息を吐いた。
なんだか本当に、首に刀でも当てられたかのように嫌な感じがする。
しかもそれを、うか様は簡単に実行してしまいそうだから、さらに。

「失礼します。
昼餉の時間になりました」

「あらもう、そんな時間?
じゃあ今日はここまでねー」

うか様が出ていくと同時に、はぁーっと息を吐き出した。
毎日、このパワハラ職場に出勤してくるのはほんと、疲れる。
よく病むことなくできているなと、自分でも感心するな。

「おかえり」

「ただいまー」

鳥居を抜け、待っていた朔哉に抱きついた。
それだけで疲れが一気に吹き飛ぶんだよね。
なんでだろう?

「うか様は相変わらずかい?」

「うん。
ほんと、嫌になっちゃう」

私の行く先で、みんなが逃げていく。
申し訳なくて、朔哉はしないって言ってくれたけど、やっぱり目を潰した方がいいんじゃないかって何度も思った。
でも、朔哉から自分を大事にしなさいって言われたから。
仕方ないって割り切るようにしている。

「今日のお昼ごはんはなんだろうね?」