「そういううか様はどうなんですか。
陽華さんを傍に置いて。
陽華さんは私と同じく人間だから、一緒にいられる時間は短いですよ」

「陽華はただのペットだからいいの!
私は朔哉が……!」

自分がなにを言おうとしているのか気づいたのか、急にうか様は口を閉じた。

「とにかく。
さっさと出ていきなさいね!」

耳どころか、面から出ている口もとから首まで赤く染め、ビシッ!と私に指を突きつけてうか様は部屋を出ていった。
ドアが閉まってなにかを蹴るような鈍い音と「ああん」とか気色悪い声が聞こえたけど、気にしないことにしよう。

「朔哉が、か」

パソコンを立ち上げて仕事をはじめる。
きっとその先に続くのは「好き」だろう。
女上司と部下の恋愛とか禁断っぽい。
が、もしかして神様同士は恋愛できなくてほんとに禁断とか?
いやいや、神話の時代は神様同士で結婚していたわけだし。
どっちにしても、うか様にとって私は恋のライバルという奴なのだ。
それが、自分とはずっと格下の人間風情なんてプライドが許さないだろう。
「だからきっと、これなんだよね」

見渡した部屋の中にはまだまだ箱が積んである。