「なんで戻ってきたの?
もしかして私の言いたいことがわかんないほど、鈍感?」

積まれた箱に座って足を組み、うか様はぶらぶらとつま先を揺らしている。

「命じられた仕事は、ちゃんとやり遂げないといけないと思ったからです」

「へー、責任感強いんだ?
じゃあ、これが終わったら朔哉の元からいなくなるんでしょうね」

ニヤリ、と半面のせいでそこしか見えていない朱い唇を歪めて笑う。

「いなくなったりしません。
一緒にいられる時間いっぱい、朔哉を愛するって約束しましたから」

うか様の目を真っ直ぐに見て、静かに答えた。
彼女の足の揺れが止まり、ダン!と音を立てて箱から飛び降りる。

「だから!
あんたがいるせいで朔哉が泣くの。
いない方がいいってなんでわかんないの!?」

飛ぶ唾がかかりそうな距離で、うか様が一気に捲したてた。
けれどいくら彼女に責められようと、私はもう朔哉と約束したのだ。
神と約束と違えるなどできるはずがない。

「朔哉からそれでもいいので傍にいてほしいと言われました。
だから私は、朔哉の傍を離れません」

「そんなの知らない!
私は!
朔哉が泣くのが嫌なの!」

ヒステリックにうか様が叫ぶ。