うか様に意地悪を言われて途中で帰った翌日も、ちゃんと仕事に行った。
朔哉はもう行かなくていいよって怒っていたけど。

「でも。
あれちゃんとやってしまって、うか様を見返したいので」

彼女にいろいろ言われて仕事も放り出し、泣いて朔哉に慰められているだけだとか思われたくない。

……いや、泣いて朔哉に慰められたのは本当だけど。

でももうこの件で、ぐちぐち悩むのはやめたのだ。
そんな暇があるならその時間、朔哉のために使いたい。

「心桜は本当に可愛いなー!」

どうでもいいけど、抱きついて頬を擦りつけないで!
面がごりごり当たって痛いから。

でも不思議なんだよね。
いくらこんなことをしても面はズレたりしない。
寝ていてもそうだ。
留めておく紐なんか付いていないんだけど、どうなっているんだろうね?

「でも無理はしないこと。
なにかあったら私を呼ぶこと。
絶対に約束だよ?」

「うん」

私の髪を一房取って、朔哉はそこに口付けを落とした。
前から思っていたけど、これって普通にキスするよりずっと恥ずかしくない?
だって口付けする間、じっと朔哉は私の目を見て逸らさないんだよ?