だから大事にして守り、慈しむ。
代替わりも考えています」

「えっ、ちょっと待って……!」

初めて、うか様の態度が変わった。
いままで横柄にソファーの背に寄りかかっていたのに、身を前のめりに乗り出してくる。

「そんなの、許さない」

「許すもなにも、許可は必要ないはずですが?」

うっすらと朔哉が笑う。
さっきまでと立場が変わっていた。
まるで莫迦社長に引導を渡す、優秀な部下みたい。

「そんなのダメよ。
朔哉はずっと、私に仕えてくれなきゃ」

「もう決めたことですので」

「ダメよ、ダメ」

うか様はせわしなく、着物の襟に触れては離しを繰り返している。

「従えません」

「そんな……。
じゃ、じゃあ、その女が本当に朔哉の嫁にふさわしいか、私が見極めてあげる!」

「は?」

思わず、朔哉と仲良く同じ一音を発した。

「明日から、私のところへ奉公に来なさい?
それで見極めてあげるから」

「えっと……」

「うか様!」

朔哉が勢いよくソファーから立ち上がる。
それをまだ状況が理解できずにただ見ていた。

「なにを考えているのですか!?」