「……婚姻のご報告に参っただけです」

朔哉の声が苦々しげだけど、それもそうだろう。
ケラケラと笑う彼女の声は軽い。
軽すぎる。

「私も面を着けるから嫁の目隠し、外してやりなさいよー」

「そういうわけには」

「私がいいって言ってるからいいのー。
ほら、面着けたし」

「……ちっ」

え、いま、朔哉、舌打ちしなかった?
いいのかな、自分よりも偉い人にそんな態度。

「心桜。
目隠し外すけど、いいと言うまで目を開けちゃダメだよ」

「……うん」

ぎゅっと目を強く閉じる。
すぐに朔哉はするりと私の目隠しを解いた。

「いいよ」

ゆっくりと目の開けた先に見えたのは……チャラい、巫女のコスプレをした女子高生のような人だった。

「初めましてー。
倉稲魂命でーす。
気軽にうかちゃんって呼んでくれていいのよ?」

彼女の面は、シンプルな、朔哉のお宅の人たちとは違い……キラキラしていた。
ラメとかラインストーンだってついているし。
まるで仮面舞踏会の面のように、すっごく派手だ。

「え、あー、はい。
心桜、です……」

「……うか様」

朔哉の声には苦悩が滲み出ている。