どうやって持ち込んだのか、家電店の店頭でくらいしか見ないような大型テレビが置いてあった。
スピーカーも立派なものが備え付けてある。

「それでここが、魔の部屋と呼ばれている、パソコンルーム。
私の書斎も兼ねているけど。
もちろん、インターネットも繋がっているし、心桜も使っていいよ」

そこのパソコンは、マニアのように複数モニターになっていた。
いや、さっきから思っていたけどさ。
人間の世界を捨てろなんていっていた割に、俗世にまみれていないかい?

「なんか凄い、人間っぽいんだね……」

「今時の神様はこれくらい、標準だよ?
なんていったって人間のお願いを聞くのが仕事なんだから。
人間のことを知らなければならない」

「そうなんだ……」

知らなかった。
神様がこんなに、最先端をいっているなんて。

「あ、でも、うちの者たちは理解が薄くてさー。
いまでも昔ながらに拘っているんだよね」

どおりで、電気部屋だとか魔の部屋だとか。
それでもってそういう具合だから、お遣いが上手くいかないんだ。

「で。
心桜が自由に動き回っていいのはここまで」

「……はい?」