そういや、セレブの奥様っていったいなにをやっているんだろう。
謎だ。

「じゃあ、朔哉のお仕事のお手伝い、とか」

「私の手伝い?」

また、朔哉がぱちぱちとまばたきをする。
そんなにさっきから私は、変なことを聞いているだろうか。
「心桜が手伝ってくれたら張り切ってしまうけど、できることはないね」

「そう、なんだ……」

ううっ、いよいよ私、ニート生活突入だよ……。


朝食が終わって朔哉は屋敷の中を案内してくれた。

「ここが書庫。
といってもこっちには、最近の書物ばかり入れてある。
心桜も欲しいものがあったら言ってね。
買ってこさせるから。
でも希望通りにいくかはわからないけど」

ははっ、朔哉の口から乾いた笑いが落ちる。
だから私に、お遣い頼んでいたくらいだもんね。

書棚の中には大手週刊少年まんがから出ているコミックスなんかも並んでいる。
巻数がときどき飛んでいるのが惜しいけど。

「ここが電気の部屋ってみんな呼ぶけど。
AVルームだね。
オンデマンドも整備したから、映画もドラマも観られるよ」