自分は洋装なのに、私は和装。
といっても薄ピンクの着物の下には大きめ襟のブラウス、袴というよりプリーツスカートみたいなのに白ソックスで黒のパンプスだけど。

「可愛くない?
いろいろ見て勉強したんだけど」

「……可愛い」

正直いって、こんなの着せてもらえて嬉しくないわけがない。
だって、みんなと同じで巫女さんみたいな格好かなーって想像していたし。

「あとこれ」

するりと空中から出したそれを、朔哉は袴の紐に結びつけた。

「……鈴?」

五つほどの小ぶりな鈴が束になったそれは、私が動くたびにチリンチリンとうるさく鳴る。

「心桜には悪いんだけど。
心桜がここにいますよー、って目印。
もし不用意に面を着けていない誰かに会っちゃうと困るから」

「……そっか」

猫の鈴みたいであまりいい気はしないけれど。
私がここで暮らしていくには必要なものだ。
仕方ない。

「朝ごはん食べたら屋敷の中を案内するよ。
前は応接室とご不浄くらいしかいけなかったからね。
それで、午後から倉稲魂命(うかのみたまのみこと)様と天照大御神(あまてらすおおみかみ)様にご挨拶に行くからね」