たぶん年配の方の女性に急かされて、顔を洗う。
たぶん、なのはやっぱりみんな狐の半面を着けているので、顔がわからないから。

髪を梳かれ、化粧までされ、半襦袢と短めのペチパンツのようなものに着替えさせられたところで朔哉が戻ってきた。

「ご苦労。
あ、心桜に紹介しとくね。
こっちの年配の方が環生(たまき)
それで若い方が光生(みつき)
心桜の世話係だから」

「……」

黙ってあたまを下げる環生さんには見覚えがある気がする。
婚礼のときの、介添えの方じゃないかな。

「こちらこそよろしくお願いします」

私もあたまを下げたけれど、環生さんも光生さんもなにも言わず、そそくさと部屋を出ていった。
ちょっと感じ悪いけど、仕方ないかな。
私の世話係なんてきっと、罰当番に近いものだろうし。

「それで。
心桜の服だけど……」

軽く握った手をあごに当て、朔哉は考え込んでいる。

「……決めた」

彼が顔を上げ、ぱちんと指を鳴らすと同時に緩やかな風が私の身体を包む。
まるで魔法少女みたいにその風が去ったときには着替えが済んでいた。

「これって朔哉の趣味……?」