朔哉の手が、慈しむように私の頬を撫でる。

そして――。

「んんっ、あーっ!」

「心桜、可愛い」

「んっ!」

ちゅっと朔哉の唇が触れるだけで身体が反応する。
彼は丁寧に時間をかけて、私の身体を隅々まで愛した。
おかげで私の身体はゼリーのように柔らかく、あたまはバターのようにとろとろに溶けていた。

「痛い、かい?」

心配そうな朔哉の声に、ふるふると首を振る。
痛い、よりももっと。

「幸せだから」

「うん」

「朔哉と一緒になれて、嬉しい」

「私もだよ」

私を気遣うように、ゆっくりと朔哉が動き出す。
溺れてしまいそうで私は、必死に朔哉に掴まっていた。



目を開けると、朔哉の顔があった。
ただし、面付きの。

「おはよう」

「お、おはよう……」

昨晩のあれのあとだと、なんだか気恥ずかしい。
合図もなにもしていないのに、たらいと水差しを持った女性が入ってきた。

「心桜はここで顔を洗ってね」

ぱちんと指を鳴らすと、朔哉はもういつもの白シャツに黒パンツ姿になっていた。

「身支度が済んだ頃に戻ってくるから」

私を残し、彼は部屋を出ていった。