ただ、神様だったらなにか、痛くないような方法でしたりするのかなって、期待が少しあったから。

「怖がらないで。
うんと、うーんと、優しくするから」

何度も強調する朔哉がおかしくて、少しだけ緊張が解けた。

「うん」

そっと、朔哉の手が頬に触れる。

「心桜、愛している」

顔が近づいてきて、唇が重なる前に面の鼻がぶつかった。

「毎回、毎回、これほんと、邪魔だよね」

いままで朔哉と何度かキスしたけれど、いつも面のせいでやりにくい。
けれど取ってしまうと朔哉は消滅の危機だから仕方ない。

「そうだ。
心桜、目隠ししていい?」

「え?」

するりと、私の夜着から紐をほどく。
それでそっと、私の目を覆った。

「こうやって心桜の目を見えなくしてしまえば、面は外せる」

それは、そうなんだろうけど。
これってなにかのプレイみたいなんだけど。

「どう?
私は心桜を隅々まで愛したいんだけど」

どう、とか言われても困る。
でも朔哉がそうしたいんだったら。

「……いいよ」

「ありがとう」

私の手に、ちゅっと口付けが落とされる。
少しだけあたまを上げさせて、後頭部で朔哉は紐を結んだ。