「心桜、おいで」

ベッドに腰掛けた朔哉が、私の方へ手を広げる。
広いお部屋、天蓋付きの大きなベッド。
他におかれている猫足の椅子といい、あの応接室といい、ロココ調のこれらは朔哉の趣味らしい。

「……うん」

おずおずと彼の元へ向かう。
部屋は完全に洋風だが、私が着ているのは白い浴衣のような夜着だ。
朔哉も同じく。

「緊張しているかい?」

「……うん」

私を抱きしめたまま、朔哉はバタンと後ろ向きにベッドへ倒れ込んだ。
そのままくるんと器用に身を反転させて、私の上に覆い被さる。

「うんと優しくするから。
怖がらなくていい」

「……うん」

そう言われても、私は初めてなのだ。

……朔哉は知らないけど。

友達との話で、最初は凄く痛いとか聞いているし、不安しかない。

「神様も、その……普通に、スるの?」

面の奥で朔哉がぱちくりと一回、大きくまばたきした。

「なにが普通なのかわからないけど、人間と同じようにするよ?」

「そう、なん、だ」

ちょっとだけ失望した。

いや、朔哉といたすのが嫌とかいうわけじゃない。