「だってそれでもし、朔哉が消えちゃったら?
そんなの、怖いよ」

そんなことはないとわかっていても、もしを考えると怖くて怖くてたまらない。

「大丈夫だよ。
私を信じて」

「……うん」

あやすように朔哉の手が私のあたまを撫でる。
それで少し落ち着けた。

「じゃあ、外すよ」

ゆっくりと朔哉の面が外される。

きりっとした細い眉。
くっきり二重の、濃紺と金の瞳。
シュッと通った鼻筋。

「そんな顔、してたんだ」

「幻滅したかい?」

「思ったよりもイケメンで、びっくりした」

面を取った朔哉が私の好みじゃなかったとしても、がっかりしないって決めていた。
でも、そんな心配は杞憂だったみたい。

「でもなんか、眩しい……」

「ああ、ごめん!」

朔哉は胸ポケットからなぜか眼鏡を出し、かけた。

「神の力の残滓、じゃないけど。
そういうのが滲み出てしまうみたいなんだよね。
こうやって眼鏡をかけていれば抑えられるから」

「う、うん……」

いや!
その黒縁ハーフリムの眼鏡、さらに顔面偏差値上がっちゃって、全然抑えられていないから!!
かえって、眩しくなっちゃってるから!!