この子はすでに神様だから、私が素顔を見るなんてあっちゃいけない。

「初めまして、私の赤ちゃん」

黄泉に行った私を守り、自分も留まってくれた、愛しい愛しい我が子。
初めまして、こんにちは。
一緒にいられる期間は短いけれど、それまでは精一杯愛するから。



ようやく、私の部屋として用意されたそこでベッドへ横になり、落ち着く。

――コンコン。

「心桜」

ノックの音がして顔を向けると、朔哉が入ってきた。

「赤ちゃん、会ってきた。
本当にありがとう、心桜」

朔哉の両手が私の手を取り、ぎゅっと握る。
それだけで疲れが癒やされた。

「名前。
どうなるんだろうね」

「さあね。
変なのじゃないといいんだけど」

子供の名前は、うか様がつけてくれることになっている。
張り切っていたけど……少しだけ、不安。

「それで。
……お待ちかねの時間だよ」

そっと朔哉の手が、自分の顔にある面にかかる。
子供が生まれたことによって、朔哉は完全に、人間になった。
だから私の前でもう、面は必要ないんだけど……。

「待って。
……怖い」

「怖くなんかないよ」