「だから、入口からあそこまではセーフなの。
あと」

ちゅっと私の額に口付けし、朔哉は面の奥でにっこりと笑った。

「心桜が、呼んだだろう?」

私が呼べば、どこへでも朔哉が駆けつける術。
あそこでも効いたんだ。

「朔哉。
……ありがとう」

「お礼を言うのは私の方だよ。
うか様から全部聞いてる。
私を救うために心桜は命をかけてくれたって。
私は心桜にこんなに愛されて、幸せだよ」
面の奥で、朔哉の目が泣きだしそうに歪む。

「私だって。
私と一緒に生きるために、人間になることを選んでくれてありがとう。
こんなに朔哉から愛されて、私も幸せだよ」

「……目、閉じて」

そっと朔哉の手が、私の瞼を閉じさせる。
手が離れると、唇が重なった。

……ありがとう、朔哉。
こんな私と結婚して、愛してくれて。
これからもずっと、私も朔哉を愛していくから――。