しれっとそんなことを言って朔哉はお茶を飲んでいるけど、本当にそうなのかな……?

「朔哉ってもしかしてヤンデレ……?
こわっ、私はそんなふうに育てたつもりはないんだけど」

うか様は肩を抱いて、身体をぶるぶると震わせた。

「それにしても、心桜の懐妊にも朔哉の人間化にも気づけなくてごめんなさい……」

らしくなく、うか様がしゅんと肩を落として項垂れる。

「えっ、いや、顔を上げてください!
私も自分のことなのに、気づけなくて……」

言われてみれば、生理が遅れていた……気がする。
なにしろこちらには節目節目の行事はあるものの、それ以外のカレンダーがない。
だからあまり、気にしていなかった。

「ううん。
こんなことに気づけないなんて、神様失格。
さらに心桜を危ない目に遭わせちゃったし……」

きつく、うか様は唇を噛みしめている。
そこまで心配してくれたなんて、なんか意外だった。

「よかった、心桜が目覚めてくれて」

私の左手をうか様が両手でぎゅっと握る。
さらには面の奥の瞳は涙で潤んでいた。

「こちらこそ、心配してくださってありがとうございます」