ぽぽぽぽぽっ。
途端に、まるで私を迎え入れるかのように奥から狐火が灯ってきた。
それを辿っていくと唐突に屋敷の裏へ出る。
待っていた狐の半面に神主さんの普段着のようなものを着た男、宜生さんに伴われて屋敷の中を進む。
私が来たってわかっているから、そこらに人の姿はない。
「よく来たね、心桜」
私が来たのに気づき、朔哉は読んでいた本をパタンと閉じた。
「これ、『ronron』のシュークリーム。
好きだったよね?」
「美味しいよね、ronronのシュークリーム!」
ぱーっと、お日様が照るみたいに朔哉の顔が輝く。
そういうところ、ほんとに神様なのかなってちょっと疑わしくなっちゃう。
「お茶の準備をしろ。
言わなくてもわかってるだろうが、紅茶だぞ」
「はっ」
短く返事をして部屋を出ていった宜生さんは、忌ま忌ましげにシュークリームの箱と私を面の奥からじろっと睨んだ。
「ごめんね、いつも」
「ううん、朔哉が悪いんじゃないから」
初めて朔哉に会った小二の秋から、十一回目の冬が来た。
外は寒いのに、屋敷の周りは花が咲き乱れ春のようだ。
途端に、まるで私を迎え入れるかのように奥から狐火が灯ってきた。
それを辿っていくと唐突に屋敷の裏へ出る。
待っていた狐の半面に神主さんの普段着のようなものを着た男、宜生さんに伴われて屋敷の中を進む。
私が来たってわかっているから、そこらに人の姿はない。
「よく来たね、心桜」
私が来たのに気づき、朔哉は読んでいた本をパタンと閉じた。
「これ、『ronron』のシュークリーム。
好きだったよね?」
「美味しいよね、ronronのシュークリーム!」
ぱーっと、お日様が照るみたいに朔哉の顔が輝く。
そういうところ、ほんとに神様なのかなってちょっと疑わしくなっちゃう。
「お茶の準備をしろ。
言わなくてもわかってるだろうが、紅茶だぞ」
「はっ」
短く返事をして部屋を出ていった宜生さんは、忌ま忌ましげにシュークリームの箱と私を面の奥からじろっと睨んだ。
「ごめんね、いつも」
「ううん、朔哉が悪いんじゃないから」
初めて朔哉に会った小二の秋から、十一回目の冬が来た。
外は寒いのに、屋敷の周りは花が咲き乱れ春のようだ。