散らばったたすきを朔哉が拾い集めてくれた。

「じゃあ、仕上げをしよう」

集めたたすきをテーブルの上に積み、朔哉は後ろから、私の手を取った。

「この上に手を広げて」

言われるがままに、手のひらを下に向けてたすきの上に広げる。

「縫っている間、込めた願いを思い浮かべてごらん?」

喜んでくれるかな、役に立ったらいいな。

……仲良く、なれたらいいな。

思い浮かべると、ふんわりと身体が温かくなった。
それが、朔哉の手を借りてたすきへ滴り落ちていく。

「うわーっ」

落ちた滴はたすきに触れた途端、花になって咲いた。
タンポポ、レンゲ、スミレ、桔梗にカキツバタ。
滴る滴と共にぽんぽんと咲いていたそれは、滴が止まると同時に消えた。

「いまの、なに?」

「んー?
見てごらん」

渡されたたすきを見る。
その端にはいま咲いていた花が模様となってワンポイント、入っていた。

「心桜の気をね、たすきに込めたんだ。
このたすきを使うものには、心桜の加護がある」

「そんな、大げさ……」

貧血にでもなったかのように、あたまがくらっとした。
倒れそうになった私を、慌てて朔哉が支えてくれる。