毎日、無理をしないこと、なにかあったらすぐに呼ぶことって約束させられたもん。

「心配させてごめんね」

「いいんだよ。
私は心桜がやりたいことは、できるだけさせてあげたいからね」

面の下の目を細めて朔哉がにっこりと笑う。
私って本当に、朔哉に愛されていると思う。
だから、あのマフラーは早く完成させて驚かせたいな。

昼食が済んだら、本を読む朔哉の隣でたすきを縫う。
こちらもだいぶ進んできて、残りは少ない。
全部手縫いなんて最初はちょっと気が重かったけど、いまはそれでよかったって思っている。
一針一針、喜んで使ってくれるかなとか、役に立ったらいいなとか、考えながら縫えるから。

「もうそろそろそれも完成だね」

「うん。
明日は朝から縫えるから、できあがるかも」

不安がないわけじゃない。
私が作ったものなんて使えないって捨てられるんじゃないかって。
でも、そんなことは考えないようにしている。

「頑張ったよね、心桜。
お裁縫苦手なのに」

ちゅっと、私の手に朔哉が口付けを落とした。
その指先にはいくつも、絆創膏が貼られている。

「傷は治すっていうのに、全然聞いてくれないし」