姿勢を正して彼女の言葉を待つ。

けれど。

「もういい」

「……は?」

自分の耳が信じられない。
私を虐めるのが生きがい、みたいだったうか様がもういいなどと。

「朔哉に教えてもらって機械量産できたし。
あとはうちのものでできるから。
それに」

「それに?」

「あなた、いくら虐めても全然堪えてないんだもん。
楽しくない」

はぁーっ、とうか様の口から漏れるそれは、いったいなんなんですかね。

「つまんないから陽華、虐めよーっと」

うか様は私を残し、部屋を出ていく。
「もっと蹴ってください」だの「もっと激しいお仕置きをお願いします」だの聞こえてきているけど……気にしないことにする。

「お仕事完了で帰っていいんだよね?」

部屋の外に出るとすでにうか様はいなかったが、陽華さんが床にひれ伏していた。

「あの……」

「お帰り、ですか」

立ち上がった陽華さんは衣服が幾分乱れている上に、顔が紅潮している。

「……はい」

「では」

歩きだした陽華さんの後に続く。
前々から気づいていたけれど、うか様と彼は女王様とペットの関係なのだ。