彼に言われると本当に形として思いがこもっているようで嬉しい。

「できあがったら教えて。
私が仕上げをしてあげよう」

「仕上げ、って?」

アイロンをかけるとかそういうことなんだろうか。
でもそれなら自分でやるし。

「うーん。
いいこと、だよ」

ふふっと小さく、朔哉が笑った。
なんだかよくわからないけど、とにかく頑張って作っちゃお。
なにしろ、五十本ほど作らないといけないので。



部屋の隅を、ちらり。
あんなに積まれいた段ボール箱は、あらかた姿を消した。
残りあの、一ケース。

ここまで本当に長かったと思う。
最初は崩し文字が読めず、遅々として進まなかった。
朔哉に教えてもらって読めるようになってからもなかなか減らない箱に、もしかしていないときに増やされているんじゃないかと疑いもした。
朔哉が便利道具を作ってくれてさくさくと進みだし、ようやくここまでこぎ着けた。

「今日中に終わる、かな」

終わらせたらうか様はどんな顔をするんだろう。
悔しがるのかな。
想像したら、俄然やる気が出た。

「ラストスパート!」

ガンガン本を読み取らせ、修正作業を進めていく。
あと十冊。