ふときがつくと僕は自身の葬式の参列者を眺めていた
少ない参列者の中に親族ではない姿を見かける
病気がわかってからは周りと関わらないようにしていたらもう誰も僕と話さなくなっていった
ノリが悪くなったよなと一度言われたきり縁なんて途切れてしまったから葬式に来てくれる同級生なんていないと思っていた
気づかれたくないけど気づいてほしい
そんな思いで近づいてみて息をのんだ
彼女だった──汐桜
僕には呼ぶ資格がないのかもしれない


「瑞希くん、もっと一緒にいたかったよ」

『ごめん。』

「あのね、私のブレスレット切れたんだよ?また逢おうねって約束したのに...なんで、なんで貴方なの。会いたいよ瑞希くん」


返しても彼女に僕の声は届かない
叶わない願いを口にしながら涙を流し、僕の棺に彼女がそっと置いたブレスレット
僕ら2人の大切な思い出
僕の切れたブレスレットは組んでいる手の中にある
切れたら願いが叶うなんて迷信だ
だって僕を神様は助けてくれやしなかった
奇跡なんてそうそう起きるはずない
でも、もしも叶うのならば、彼女が僕を忘れて幸せに過ごせますように
彼女に腕を伸ばして涙をぬぐう
けれど実際彼女の涙は僕をすり抜けてぽたりと僕の棺の中に落ちシミを作った
すると棺に置かれたブレスレットと組んでいる僕の手から淡い光が漏れ出して僕ら2人を包み込んだ