部屋に戻って着替えを済ませると食堂へ向かった。入口でちょうど中へ入ろうとしていた嘉正くんたちと再会する。


「お、巫寿。やっと解放されたのか?」

「そんな長い事説教くらいなんて、春休み中何したんだよ〜?」


みんなの中では私が薫先生にお説教を食らっていたことになっているらしい。

そんなんじゃないって、と苦笑いでみんなの輪に合流する。

厨房でお膳を受け取りながら来光くんが「本当に大丈夫?」と尋ねてきた。


自分一人で抱えておくには重すぎるけれど、まだ私が直階一級を取得できた理由は分かってない。薫先生だって妙な言い方をしていたし、人に言いふらしてもいいんだろうか。


「困ったことがあったら言ってね」

「そうだぞ! 流石に罰則手伝って欲しいとかならちょっと考えるけどな〜」


あははっ、と笑う皆の顔にずっと不安だった気持ちが少し薄れる。

みんなに、相談してみよう。


キョロキョロと辺りを見渡す。広間の最奥に陣取った私たちの周りに他の学生はいない。厨房に近い場所の方が調味料を取りに行きやすくて人気だからだ。

あんまり大きな声で言うことじゃないと思って口元に手を当てて身を乗り出す。みんなは不思議そうな顔をしながらも体を乗り出し耳を傾けた。


「……実は、直階一級に受かってたらしくて。冗談とかじゃなくて本当に」


絶対に聞かれると思ったので先にそう伝える。

皆がゆっくりと私の顔を見た。数度瞬きをする。そして。



「────はぁ!?」