「でも大晦日に会おうって誘ったんだけど、家が忙しいって断られたんだよねぇ。なんか体のいい断り文句って感じじゃない?」

「あ、それはね、本当なの。泰紀くんのお家って神社だから、年末年始は参拝客の相手やご祈祷の依頼でめちゃくちゃ忙しくなるんだよ」

「そうなの? なんだ良かったー!」


ホッと息を吐いた恵理ちゃん。頬を赤らめるその顔は恋する乙女そのもので凄く可愛い。

なんかちょっと羨ましいかも、なんて少し思ったり。


「あ、でも春休みは会うんだよ! 4月の頭に家族旅行に行くって話をしたら、丁度泰紀くんも用事で近くにいるんだって。少しだけ会える?って言われちゃった! 近くの神社でひな祭りのイベントやってるから一緒に行こうって〜」

「えっ! ということはデート……!?」

「やだ巫寿ったらもうッ! 少し会うだけだよ〜!」


私の肩をバシバシと叩きながら体をくねらせる恵理ちゃん。その表情は本当に幸せそうでなんだか私まで嬉しくなる。

デートの話はほかのクラスメイトには内緒にしておこう。二人がデートに行くなんて話したら、ついて行こうとする可能性が大いにある。

恵理ちゃんにはこの恋を大事に育てて欲しい。


「そういえば、聖仁さんと瑞祥さん! 巫寿の推しカプは最近どうなのよ!」

「ふふ、推しカプって」

「だってそうでしょ〜? 会ったことはないけど私も二人のこと応援したいなぁ。幼馴染なんだっけ?」


そうだよ、と頷く。