三人は目配せをして苦い顔を作るとそれ以上は何も言わずに私たちの向かいに座る。
なるほど、そもそも呼ばれていなかったことはさておき、だから薫先生は私の隣に座ったんだ。
「聞かれ事だけに答えればいいし、言いたくないことは無理に話さなくていいからね」
隣の薫先生からそう耳打ちされた。そんな事を言われたら余計に身構えてしまう。
ひとつ頷き、おじさん達を恐る恐る見あげる。
「既に彼から聞いていると思うが、今日は巫寿さんの階級の件で来てもらった」
真ん中に座った一番神経質そうなおじさんが淡々とそう言う。
はい、とひとつ頷く。
「まず結論から言おう。君に与えた直階一級は手違いではない。君は直階一級だ」
薫先生からの話を聞いていて"もしかしたらそもそも本庁の手違いなんじゃ"なんてことをうっすら考えていたけれどいきなりそれも否定された。
だったら余計に謎が深まる。私は間違いなくそんな実力に見合っていないはずだ。
「直階一級であることは間違いないが、念の為いくつか確認しておきたいことがある」
「私の質問に全て正直に答えてください」
右端にいたおじさんが続けた。戸惑い気味に「はい」と頷く。
「巫寿さんは授力、鼓舞の明を持っていますね?」
「え……あ、はい」
想定外の質問に戸惑いながらも頷く。
私はお母さんから鼓舞の明と呼ばれる、舞を舞うことでそばにいる人たちの言霊の力を底上げできる力を持っている。