薫先生とはメッセージアプリでも連絡先を交換しているし、そこに連絡すればすぐに確認できたんじゃないだろうか。
「あはは、ダメだよ。高校生の春休みなんて一瞬なんだから、先生と連絡取り合うよりと友達としっかり遊んで思い出作らないと」
そういうものなんだろうか?
とにかく薫先生なりの配慮というわけだ。確かに春休み中にこんな事が発覚していたら呑気に遊んでなんかいられなかった。
「それにしても、どうしてこの階級に合格したのかが疑問だね。試験の結果が俺の元に届いてからすぐに問い合せたんだけど、奉仕報告祭の時に本人と話すって言うだけで何も教えてくれなくてさ」
ふぅ、と薫先生が息を吐いて天井を見上げる。
なるほど、だから私は本庁の会議室に連れてこられたんだ。
本庁の人とは関わりが薄いし、去年の観月祭でまねきの社の神職さまと険悪なムードになっているのを見てからちょっとだけ苦手意識がある。
薫先生も一緒に居てくれるみたいで心強い。
その時、カチャリと扉が開き黒いスーツを着た三人のおじさん達がぞろぞろと中へ入ってきた。
慌てて立ち上がると不機嫌そうな難しいことを考えているような険しい顔でちらりと私を一瞥した。
そしてすぐに私の隣に座る薫先生に気付き、険しい顔をもっと険しくした。