息が詰まった。
薫先生がそれを聞かなきゃ行けない立場なのは分かるし疑われても仕方がない。私が薫先生の立場なら同じ事を同じふうに聞くはずだ。
ただ、その質問は私の心を削った。
この一年、慣れないこと戸惑うことばかりでずっと苦しかった。けれどみんなに追いつくために、目指したい背中に届くために必死になって駆け抜けた。
その日々を否定されたような気がした。
「そんな泣きそうな顔しないでよ。俺だってもちろん信じてる。ただ、こういうのってちゃんと言葉にして聞いとかないと後から拗れちゃうからさ」
薫先生がぽんと私の頭を叩いた。
「巫寿の成長はこの俺が一番近くで見守ってきたんだよ。自分の生徒なんだから、巫寿がどんな子なのかも分かってる」
その言葉が今は何よりも嬉しい。
膝の上で拳を握る。ツンとした鼻を啜って顔を上げた。
「……してません。自分の力で試験にのぞみました」
うん、と薫先生が笑って頷く。
「巫寿から話が聞けてよかったよ。心配はしてなかったけど、不安はあったから」
「でも、それなら春休み中に連絡してくれてもよかったのに……」
そう言ってから気がつく。思えば試験結果は1週間前に来ているはずだ。