「わざわざそれ言うために俺らのこと迎えに来たの?」


やれやれと首を振った慶賀くん。


「んー、それもあるけど実は本当の用は別にあってね。────巫寿」


急に名前を呼ばれて目を瞬かせる。ワンテンポ遅れて「はい?」と返事をすれば薫先生は少し手招きをした。


「ちょっと巫寿に用があるんだ。制服に着替えなくてもいいから、そのまま俺についてきて」

「えっと……分かりました」


目を細めた薫先生は私の頭に手を乗せた。


「君らはさっさと着替えてちゃんと報告祭に参加するんだよ〜」


はーい、と答えたみんなが鳥居を駆け上がっていく。

その背中を見送って薫先生を見上げる。


「じゃ、俺らも行こうか」


いつも通りの声色でそう言った薫先生がスタスタと階段を登り始める。

その背中を追いかけながら、ずっとあった胸騒ぎが大きくなるのを感じた。