「とにかく今日は迷惑かけてごめんね。明日の本番までにはちゃんと話して元に戻るから」
最後の一口を齧った聖仁さん。
お社の前まで戻ってきていた。
「じゃ、気をつけて部屋戻ってね。俺はここで」
「どこか行くんですか?」
「鈍感娘を迎えに。こういう時に決まって隠れてる場所があるから」
それじゃ、おやすみ。
軽く手を挙げた聖仁さんは小走りで夜の闇の中へ消えていく。
最後に見えた横顔はやはりうんと優しくて、明日の雛渡りはきっと大丈夫だろうと思った。
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