「裾踏んだって、ここ数年そんな事なかったろ! どこか痛めてたり具合が悪いのを隠してるんじゃないよね……!?」
「はぁ? そんなんじゃないってって!」
「じゃあ一度巫女頭に何ともないか診てもらいに行こう!」
瑞祥さんを担ごうと手を伸ばした聖仁さん。
やめろって!と少し苛立った声とともに、手が弾かれる乾いた音がした。
「転けただけって言ってんだろ! しつこいぞ聖仁!」
「怪我してても隠して悪化させるし、病気になっても隠して倒れるまで無茶する瑞祥が悪いんだろ!? あの時だって……!」
「それはッ……そうだけど! でも今回は本当に違うから!」
「違うなら本巫女に診てもらっても問題ないよね!」
当然始まった言い争いに皆が困惑した。
いつも仲よく寄り添っている二人からは想像も出来ないほど激しい言い合いだった。
お前ら一旦落ち着けって、そう仲裁に入った一人が「うるせぇ!」と瑞祥さんに一喝されて胸を突き飛ばされ後ろにひっくり返った。ゴンッと痛々しい音がして暫くしても起き上がって来ず、慌てて私達が駆け寄る。
倒れた時に頭をぶつけたらしく半目で気を失っていた。
「大体、最近の聖仁何なんだよ! 何でもかんでも口出ししてきて、母さんかよ!」
「心配させる瑞祥が悪いんだろ! 俺は瑞祥のことを想って言ってるんだよ!」
「はぁ!? そんなん頼んでないし!」
隣で人が気絶しているのもお構いなしに言い争いを続けるふたり。