「私は別に、神修で推しカプを推せるだけで満足だから……」

「え!? 神修内にカップルがいるのか!?」


そうなの!?と私も目を丸くする。

学生の人数が少ない神修では、他学年の学生も何となく把握している。

誰と誰が付き合っているのかという情報はかなり気になる話題だ。


「はい。泰慶が尊くて……」


タイケイ?

聞きなれない単語に皆が首を傾げた。


「あっ……泰慶というのは、泰紀さんと慶賀さんカップルでのことす」


数十秒の沈黙の後「ええ!?」という声が揃う。


「た、泰紀くんと慶賀くん? 私のクラスメイトの?」

「そうです。あそこを見てるだけで私は幸せで……」


恍惚とした表情でうっとり息を吐いた玉珠ちゃん。

すっかり取り残されている私たちは困惑気味に顔を見合わせた。


「あのさ玉珠、あいつら男だよな?」

「です」

「付き合ってもないよな」

「……私はちゃんと分かっているんです」


何が、というツッコミが見事にそろう。