夜もかなり深まった頃、いつの間にか誰かが持ってきた甘酒とお菓子が広げられ、話題は最近見たドラマの話から恋バナにシフトチェンジしていた。
「ええーッ! 盛福は陶護先生のことが好きなのか!?」
「ちょっと瑞祥さん声おっきい!!」
顔を真っ赤にした盛福ちゃんが顔面目掛けて思いっきり枕を投げる。軽々とそれを受けとった瑞祥さんは枕を抱きしめて「ひゃ〜!」と頬を赤くする。
私までドキドキして胸の前で枕を抱きしめた。
「ど、どこが好きなんだ……?」
「全部ですよぉ。ちょっとナヨナヨしてる所も可愛いし、何より医務室に好き好きアタックしに行った時に、わざとらしく面倒くさそうな態度取るくせに耳は真っ赤なんです! そこも可愛くて〜」
好き好きアタック……!
そんなことまでしてるのか盛福ちゃんは。
恵理ちゃんといい盛福ちゃんといい、自分の気持ちを恥ずかしがらずに表に出せるのが凄いなと思う。女の私から見ても、そうやって素直な女の子は可愛いし素敵だ。
そうか、でも好き好きアタックって……。
「はいはい、私の話は終わり! 次は玉珠だよ!」
「わ、私……?」
ぽっと頬を染めた玉珠ちゃんが熱海で被っていた布団をぎゅっと握りしめる。
「いるでしょ? 好きな人の一人や二人くらい〜」
「二人いちゃ駄目だろ」
「瑞祥さんこまかーい! で、どうなの!?」
うう、と言葉を詰まらせた玉珠ちゃんは小さく首を振った。