当日までは瑞祥さんのお家にお泊まりさせてもらうことになっているので、家の中の案内を一通りしてもらった後、白衣と白袴に着替えて集合場所の神楽殿へ顔を出した。

数人の神職さまたちが忙しなく働いていて、瑞祥さんも顔を出すなり連れて行かれた。

邪魔にならないように時間まで隅にいようと、体の向きを変えた瞬間ドンッと背中に衝撃が走ってそのままうつ伏せに倒れ込んだ。幸い手が出たのでそこまで大きな衝撃は来なかったけれど、驚きで心臓がバクバクと跳ねる。

なぜか背中が重く起き上がることができない。

う、と唸り声を上げて潰れる。


「巫寿ちゃん久しぶり!!」

「巫寿さん……!」


何とか気合いで上半身を捩って振り向くと、キラキラした目が四つ至近距離で私を見つめていた。


「盛福ちゃん、玉珠ちゃん!」


後ろから突進してきたのは神楽部の後輩二人だった。


「ずっと会いたかったんです!」

「やっと会えて嬉しいです……!」


腕を回してぎゅうぎゅう抱きついてくる二人。

そういう風に言ってくれるのは凄く嬉しいけれど、なかなか辛くなってきた。


「あの、一旦放し────」


放してほしい、といい切る前に二人が「あいたッ!」と声を上げて頭のてっぺんを抑えながら私の上から転がった。